第33話:ミリの告白、あるいは求めた罰
そして破滅へ。
サーカス団跡地での戦いは、文字通りの「破滅」だった。
「タンクこそが戦闘のリズムを決める」という傲慢。仲間を自分の景色のための「コマ」と見なした慢心。そのすべてが最悪の形で牙を剥いた。敵の想定外の波状攻撃を前に、自分は自らの力を過信し、戦線のコントロールを誤った。
結果は、全滅。 後ろにいたはずの黒魔術師とヒーラーの二人は、自分の歪んだプライドの犠牲となり、冷たい骸へと変わった。自分だけが、本当に「ミリ単位」の絶望的な確率で、泥をすすりながら命を繋ぎ止めたに過ぎなかった。
戒めと、辛うじて残った端切れのような命を嘲笑うように、自らを「ミリ」と名乗る自分。
ギルドでの惨めなネズミ狩りで小銭を稼ぎ、ようやく手に入れた新しい大盾。
そして今、錆びついた鉄門の向こうに廃墟となった巨大なサーカステントを見上げながら、自分は焚き火の前にいる。ミルクの甘いカフェオレの香りが、かつてダラーが淹れてくれたコーヒーの記憶を微かに揺さぶる。
しりとりで無意識に口からこぼれた、「ナノ」という、かつての自分の名前。
「ナノ? ……単位のこと?面白い語彙ね」
メーヴェの怪訝そうな、しかしどこか優しい眼差しが注がれる。 自分はカフェオレの残りを飲み干した。
「……自分が悪かったんだ。すべては、自分の慢心が招いた結果だった」
あのサーカステントの奥で、自分がどれほど傲慢だったか。仲間をコマ扱いし、戦場を支配していると錯覚し、その結果二人を死なせたこと。自分がどれほど醜悪で、取り返しのつかない罪人であるか。
自分の胸の中にあったのは、ただ一つの、歪んだ渇望だった。
(責めてほしかった)
「あんたのせいよ」と、激しく罵倒してほしかった。 せめて、私に「ナノ」という名前を思い出させてくれた目の前の彼女に、この消えない罪を、容赦なく罰してほしかったのだ。誰かに激しく咎められることでしか、自分のこの大盾を握る手の震えは、救われないような気がしていたから。
しかし、彼女は何も言わず、夜風はただ静かに焚き火の粉を巻き上げるだけだった。 自分は、過去の亡霊が彷徨う因縁の舞台を静かに見つめ、明日、再びその深淵へと足を踏み入れる覚悟を、大盾のグリップの感触とともに強く、深く、握りしめ直した。