第88話:景色の続きと、聞こえた声 最終話
 首都から遥か遠く離れた、美しい景勝地。  喧騒とは無縁の穏やかな風が草原を撫で、どこまでも続く景色が目の前に広がっていた。立ち止まり、手元の羊皮紙へさらさらと新しいポイントを書き足していく。  あの頃教わった「道順」を、今は自分自身の景色へ変えるために。  「こういうのがいいかもな……ただ、景色を描きながら歩くのが」  羊皮紙を閉じ、しっかりと前を見据える。そして、美しく広がる新しい景色の中へと力強く歩き出した。  「でも、まずはネズミでも狩って稼いでおかないと、カフェオレの豆も買えないよ?」  ゆっくりと振り返る。  「しりとりでもする? あたしの『え』からだよ。」  そんな声が、風に乗って聞こえた気がした。